インタビュー
Monobit Unity Networking 2.0(以下、MUN)を導入しているセガゲームスの 崔 埈碩 氏にインタビューを実施。『コトダマン』の開発にあたってMUNを導入することになった背景やその魅力を聞いた。
セガゲームスは、4月16日に『共闘ことばRPG コトダマン』をリリース、わずか3日間で100万ダウンロード、その後2ヵ月で700万ダウンロードを突破した。
本作は、言葉を使って4人で共闘するという新しい体験がある作品となっており、通信エンジンではMonobit Unity Networking 2.0が採用されている。
今回Social Game Infoでは、Monobit Unity Networking 2.0(以下、MUN)を導入しているセガゲームスの 崔 埈碩 氏にインタビューを実施。『コトダマン』の開発にあたってMUNを導入することになった背景やその魅力を聞いた。
■採用の決め手は導入のしやすさとサポートにあり
『コトダマン』リードプログラマー
崔 埈碩 氏
ーー本日はよろしくお願いします。まず『コトダマン』がどのような作品か教えてください。
『コトダマン』は言葉を使って戦う新感覚RPGで、画面に表示がある文字と組み合わせて言葉を作るゲームです。ゲームで認識する言葉は約20万語くらいありますよ。
ーー大人にとっても難しい言葉が入ってますよね。
そうなんですよ、自分の知らない単語や、予想もしていなかった組み合わせでコンボに繋がったりします。そういうところがゲームの面白さにも繋がってますね。またジャンルとしてはRPGなので、ストーリーも充実しています。今まで言葉のパズルはあったと思うんですが、4人で共闘するパズルRPGはあまりなかったので新しい体験を提供できているのではないかと思っています。
ーーどのタイミングで『コトダマン』のチームにジョインしたんでしょうか
2016年に『コトダマン』のプロトタイプが出来たのですが、そのタイミングでサーバーサイドのエンジニアとして参加し、今はリードエンジニアも務めています。当初はマルチプレイ用の通信ミドルウェアを自社で作っていたのですが、社内で複数のラインが走っていたため、手が回らなくなっていました。
またローンチ後の運営を考えると、モバイルゲームは通信周りで問題が起こりがちなので、「プロジェクトの途中で仕様変更をするリスクを負っても、サポートの厚い会社を探したほうが良いのでは?」という議論になったのです。
ーーそこで外部の通信エンジンに目を向けるようになったんですね
はい。たまたま別件でモノビットさんとやり取りをしていた時期で、これを機に本格的に検討を始めました。この機能であれば、『コトダマン』で実現したいことができると。
ーー実際モノビットエンジンを試してみていかがだったのでしょうか
テスト実装が非常にスムーズ進みました。また弊社内で通信ライブラリの開発者からの後押しもありました。そしてモバイルという各キャリアの通信回線やWi-fiといった多岐に渡る環境に対して、内製でイチから構築するには検証は非常に困難です。
また他社のミドルウェアはWindowsでの動作のみですが、MUNはWindows、Mac、Linuxという主要な環境で動作することもあって採用を決定しました。
ーー実装はそんなにスムーズだったんですね。
『コトダマン』のマルチプレイは非常にシンプルな作りになっています。サーバーはモノビットの仕様のままなんです。むしろクライアント側を変更してモノビットの仕様に合わせたぐらいで。それくらい簡単に導入できるんですね。
ーー開発中の仕様、特に通信周りを変更するのは非常にリスキーにも思えます。
最初は「また仕様変えるのか」って思いましたよ(笑)。でも、今の状況を考えると結果的に変えて良かったです。
ーーモノビットのエンジンの導入のしやすさというのはどういうところにあるのでしょうか
セガゲームスのモバイルゲームの開発にはUnityをメインに使っていて、MUNは親和性が高かったのです。クライアントの通信処理をエンジンが上手く処理してくれるので、プログラマがあまり通信を意識することないのも良いですね。
それに加えて、モノビットは通信に関しての知見が圧倒的です。TCPやUDPなどのプロコトルなどの対応を社内で対応しようとすると専任で1人〜2人は必須になってきます。
そういった点においても手厚いサポートがあるのは大きいですね。製品の導入のしやすさに加えて、その部分モノビットさんへの期待している部分でもありました。
ーーサポートという話も出ていましたが、サーバーで問題が出た際にはモノビットに確認できますね。
そうです。レスポンスが早いのも非常に助かりました。
ーーこれから長く運営をしていくにあたっては重要なことですね。
はい。また運営と言えばローンチ後にサーバーの監視作業が必要になります。MUNと連携することで、同時接続数やマルチプレイの際のルームの立ち上げ数など、運営が求めている形で数字が取れるように要望しました。その要望に対してはMUNの汎用的な機能として実装されたのです。そういったところも、自分達がやりたいことの意図を汲んでくれましたね。
ーー通常にサポートだけではなく拡張もあったというのは心強いですね。
よくありがちなのは、サポート窓口があって問い合わせをしても、レスポンスは何営業日もかかるし、答えも的外れということがあります。また国外の会社になると英語も必要で、時間のロスがどんどん増えていくんです。そういう意味でもモノビットのメリットは大きいですよ。問い合わせをしたら当日中にレスポンスがきますし。
リリース後に、一度ゲーム内で大きなトラブルがあったのですが、その際にはモノビットのエンジニアさんに弊社オフィスまできていただいて、問題の起きているサーバーを調査してもらったこともあります。結果的にはモノビットエンジンが原因ではなかったのですが、そこで原因の切り分けができたのは大きなことでした。
ーー『コトダマン』の今後の展開に関し教えてください
『コトダマン』はリリース前からSNSなどを活用して多くのユーザーの皆さんにご協力頂き、その声をゲームの一部仕様などにも反映しています。そういった取り組みも積み重なって、現在多くの皆さんに遊んで頂けていることにつながっていると思います。
今後もそういうユーザーの皆さんに寄り添う方針でやっていきたいと思っています。また色々なコラボイベントも準備もしていますよ。
——ありがとうございました。